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エコキュートの騒音で苦情?事前の確認と設置後の音を防ぐ対策

エコキュートによる騒音の原因はヒートポンプから発生する「低周波音」です。中には健康被害で近所とトラブルになり裁判に発展するケースも。設置する前のチェックポイントや事前調査や、エコキュート設置後でも音を防ぐ対策でトラブルを未然に防ぎましょう。

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この記事の目次

エコキュートの騒音の原因は「ヒートポンプ」

エコキュートは2001年の販売スタート以来、順調に普及して来ています。
昼間と比べて圧倒的に安い夜間電力を有効活用して必要な時に充分なお湯が使用できるスグレモノですね。
電気料金の大幅節約だけでなく自然災害などで万一、断水を余儀なくされた非常時であっても数日間の生活用水の必要量は既に貯水されており、その意味でも安心できるエコキュートです。
更に冷媒には従来からエアコン等で使用されていたフロンガスではなく環境に優しいCO2(二酸化炭素)が使用されているので、その点でも文字通りエコキュート(エコな給湯)システムになっているのです。

非常にコスパに優れていて自然環境にも優しいエコキュートですが実際の設置に際して、細心の注意を払わなければならないのがエコキュートの騒音問題です。
ちなみに一般的なエアコンの室外機の作動音が50~60デシベルとされていて、エコキュートの場合は更に静かな40デシベル程度(図書館内部の音量程度)
ですから本来なら全く問題になるような音量ではありません。

エコキュートが問題とされているのは給湯タンクユニット本体からの発生音ではなく、ヒートポンプユニットから発生する約12.5ヘルツ(1秒間に12.5回の振動)程度の低周波音なのです。この低周波音という言葉自体が余り耳慣れない言葉なのですが、身近なところでは各家庭にある冷蔵庫から「ブーン」という低い音が聞こえる場合があると思います。まさにあの音こそが低周波音と呼ばれているものなのです。

エコキュートの騒音は夏よりも「寒い冬場」の方が大きくなる

エコキュートの低周波音はヒートポンプがお湯を沸かす時に作動させる圧縮機(コンプレッサー)と大気中の空気熱を取り込むファンが回転することにより発生して「ブーン」という低い音が出るのです。

また騒音の音量は一年中一定という訳ではなく季節的に変動します。
一般的に夏場よりも冬場の方が騒音は大きくなる傾向があるのです。外気温の低い冬場は気温の高い夏場と比べてお湯を沸かす為には当然ながら、より多くのエネルギーを必要としますから稼働時のコンプレッサーやファンの回転数を上げる必要が出てくる為です。

通常、エコキュートの作動音は日中であれば、ほとんど問題にならないレベルの音量と思われますが、エコキュートは安価な夜間電力を利用して貯湯するシステムなので本格稼働する時間帯が深夜から夜中になります。人々が寝ている時間帯に稼働する訳で、その点がこの問題をより深刻にしている訳ですね。
毎晩、就寝時間帯に低周波音を連続して耳にする事で、不眠や頭痛、イライラ食欲不振などの健康被害を訴える人も出てきます。

この問題で悩ましいのは騒音に対しての感じ方で非常に個人差が大きいということです。全く平気で何も感じないという人がいる一方で、重い体調不良を訴える人もいる訳ですね。通常の騒音であれば、全ての人が「うるさい!」と感じられるのですが低周波音の場合は人によってその感じ方がバラバラです。

ですから低周波音による騒音問題に関しては、自分がこの程度なら大丈夫だろうと考えても、人によっては眠れないとして気にする人がいることを忘れてはいけません。その意味では、この騒音の問題は非常に微妙で悩ましい問題であると言えます。近隣住民の健康被害が大きくなると裁判沙汰になったり、悪くすると損害賠償にまで話が及ぶなど更に状況が悪化してしまいます。

特に厄介なケースとして、エコキュートの持ち主が音に鈍感で何ら騒音に関する問題を認識していないような場合は、隣人がいくら低周波音による健康被害を訴えてもピンとこないというか理解してもらいにくいかも知れませんね。

エコキューの低周波音が「人体に与える影響」は?

4年前の2014年には群馬県に住む夫婦よりエコキュートのヒートポンプユニットから発生する低周波音で健康被害(不眠や頭痛など)を被ったという訴えに対して消費者庁が「エコキュートの運転音が関与している可能性が高い」という報告をしています。
引用 日本経済新聞(2014年12月25日付)

エコキュートから発せられる低周波音による具体的な健康被害の症状としては、「頭痛」「不眠」「イライラ」「肩こり」「動悸」「しびれ」「耳鳴り」「だるさ」「微熱」「食欲不振」などがありますが、更に自律神経失調による「吐き気」や「脱毛」「胸の圧迫感」「幻覚」などが現れる場合もあるとされています。

エコキュート設置の際の「騒音対策」はどうすれば良いか?

騒音発生の原因となるヒートポンプユニットを極力、自宅や隣家の寝室近くには設置しないようにすることが重要です。エコキュートは一度設置してしまうと再度の移設は非常に面倒で大変ですし、高額の移設費用も掛かりますから設置場所は慎重の上にも慎重に熟慮して決めなければいけません。

寝室からの距離は15メートル以上離すようにすると共に、騒音遮断の意味で塀を立てます。ヒートポンプユニット前面の塀は騒音の遮断効果を上げる為に音源より1メートル以上高くするようにします。更に塀の長さは両サイドに高さの数倍以上取るのが望ましいとされています。

但し、ヒートポンプと塀が近すぎると吸熱効果が下がってヒートポンプの効率悪化になってしまう為、メーカーが指定した間隔は最低限確保する必要があります。

塀の材料はコンクリートブロックやスレートなど頑丈で強固なものを使用して隙間の無いように作ることが非常に重要です。

そして何よりも大切なのは、エコキュート設置前に近隣に充分に説明しておくことです。その上で、設置後にもし騒音が気になるような事態になれば即座に伝えてもらうように依頼しておき、その場合には速やかに隣家と相談しながら真摯に対応するようにすれば、こちらの誠意も充分に相手側に伝わって重大なトラブルに発展することも未然に防げるのではないでしょうか?

最初は小さなトラブルも、こじれて大きくなり更には隣人との人間関係までもが壊れてしまうような最悪のケースは、お互いのコミュニケーション不足が大きな要因のひとつであると思います。

低周波音を防ぐ為には単純に言って、出来る限りヒートポンプユニットを遠ざけるのが改善策なのですが、なにしろ日本の住宅事情ですからスペース的にもそんな余裕など無い場合も多いでしょう。そんな状況下では、出来る限り発生音や振動などを低減させるような工夫をしてみましょう。

エコキュートの騒音を防ぐ工夫
  • ヒートポンプユニット周囲に極力空間を確保して塀や壁での騒音の反射を防ぐようにします。
  • ヒートポンプの稼働音や振動が増幅しないように、コンクリート製などの強固な土台にしっかりと水平を保つように据え付けます。振動が抑えられるだけでも実際に体感する騒音はかなり軽く感じられます。
  • ヒートポンプが狭い場所に設置されているような場合には、ヒートポンプ自体やその周辺に防振遮音素材のシートを貼り付けます。
  • ヒートポンプの設置場所を道路側など住宅のない方角に置きます。道路側と言えば一般的には玄関がある場合が多いと思います。その横にエコキュートのヒートポンプユニットなどを置くのは見た目が良くないと思われるでしょうが、近隣の寝室との位置関係の問題や自宅敷地の大きさ等を考慮した場合に、玄関近くの設置も止むを得ない場合があることを覚悟すべきでしょう。

但し、矛盾するかも知れませんが、エコキュートの設置場所は出来るならばお湯を使用する浴室や台所、洗面所などの近くに設置する方が効率的ではあります。

またエコキュートの設置場所を決める際に注意するのは騒音の問題だけではないのです。騒音問題と比べると余り注目されていませんが、排気の問題も重要です。夏場のエアコンなどでは室外機から熱風が吹き出しますが、エコキュートの場合は逆に外気温のマイナス10度程度の冷風が吹き出します。

暑い夏場であればともかく、寒い冬の季節などに隣家の床下の通気口やガラス窓などに一晩中、氷点下の風が吹き付けると隣人も堪りませんよね。
この点も充分に考慮した上で設置場所を決める必要があります。加えてエアコンの室外機の近くに設置する事も出来れば避けた方が賢明ですね。
なぜなら共振によって騒音が増幅してしまう恐れがあるからです。

既にエコキュートを設置済みで騒音に対する苦情などがある場合でも、工夫することで少しでも騒音を低減させることができます。気になる振動を抑制する為に制振材を使用したり、音を少しでも小さくする為に防音シート等の使用も非常に有効であると思われます。

更に忘れがちなのが3年ごとの減圧弁や逃し弁などのメンテナンスです。定期点検を確実に実施することで、故障防止だけでなくパーツが老朽化して騒音が更に大きくなったりすることを未然に防げます。

客観的な第三者機関による騒音調査を依頼する

エコキュート設置後の近隣への騒音トラブルの発生が不安な場合は騒音の調査サービスを依頼することもできます。サービスの内容自体は以下の通りです。

  • 低周波レベル計を3日間に渡って貸与して実際に発生している騒音を測定するサポートを行う。
  • 得られた騒音の数値データを基にして騒音値を解析する。
  • 騒音を解析した報告書の作成を行い依頼者に送付する。

自宅に設置しているエコキュートの客観的な騒音分析データがあれば、万一何かトラブルになった時にも客観的で公平なデータとして役立つと思われます。

メーカーによって「エコキュート」の騒音に差はあるか?

一般的にエコキュートの運転音の大きさはタンク容量と外気温によって変わります。ここでの比較はタンク容量を460リットルと370リットルの2種類とし外気温を16度(中間期)と冬場の7度(冬期)で比較した運転音の大きさです。

パナソニック製エコキュート

460リットルタイプ(中間期:42デシベル)(冬期:45デシベル)
370リットルタイプ(中間期:38デシベル)(冬期:43デシベル)
・2016年9月発売モデルのデータ

三菱電機製エコキュート

460リットルタイプ(中間期:42デシベル)(冬期:45デシベル)
370リットルタイプ(中間期:38デシベル)(冬期:43デシベル)
・2016年8月発売モデルのデータ

ダイキン製エコキュート

460リットルタイプ(中間期:40デシベル)(冬期:45デシベル)
370リットルタイプ(中間期:38デシベル)(冬期:44デシベル)
・2016年6月発売モデルのデータ

コロナ製エコキュート

460リットルタイプ(中間期:42デシベル)(冬期:45デシベル)
370リットルタイプ(中間期:38デシベル)(冬期:43デシベル)
・2016年6月発売モデルのデータ

日立製エコキュート

460リットルタイプ(中間期:42デシベル)(冬期:44デシベル)
370リットルタイプ(中間期:38デシベル)(冬期:43デシベル)
・2016年11月発売モデルのデータ

主要なエコキュートメーカーの同容量の機種で騒音レベルを比較してみましたが、ご覧のようにほとんど全てが同レベルの騒音量でありメーカーによっての明らかな優劣は認められませんでした。従って騒音トラブル等を未然に防ぐには、近隣との位置関係などの条件確認を慎重に行ってヒートポンプの設置場所を最終決定することが最も重要なことなのです。

エコキュート騒音のまとめ

エコキュートは空気中の熱を吸収して圧縮することで得られた高温の熱を利用してお湯を沸かして貯湯するという極めてエコで優れたシステムです。
また昼間と比べて格段に安い夜間電力を使用して稼働する為に電気料金も大幅に節約できるという使用者にとっては非常に嬉しい商品です。

主として深夜から真夜中がエコキュートの稼働時間帯であることから、場合によっては近隣住民から騒音に対するクレームが発生する場合があります。
近隣ですから今後も平和でより良い人間関係を維持していきたいのは人情として当然のことですよね? その為には、まずエコキュートの設置前に近隣に説明してエコキュートに対する予備知識を共有しておくことが肝要です。

勿論、夜間に騒音が発生することも先に伝えておいて、設置後にもし騒音や振動等による不具合を感じたら即座に知らせて頂くように依頼しておきます。
そうすることで、不幸にしてクレームが発生しても近隣と相談しながら先手、先手で対策を講じていくことが重要です。そうすれば近隣もストレスや我慢の蓄積がなくエコキュートの持ち主サイドも従来通りの良好な人間関係が維持できるでしょう。問題がこじれて裁判沙汰になるのは両者にとっても不幸なことですから何としても避けなければいけません。

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