住宅設備のススメ

エコキュート

エコキュートとエコフィールの長所と短所・光熱費まで徹底比較!

エコキュート(電気給湯器)とエコフィール(石油給湯器)の違いやそれぞれの長所と短所、光熱費の違いなどを徹底比較して分かりやすく解説!どういった仕組みなのかなどの基礎知識から1年でどれだけ光熱費がかかるかなどの目安、デメリットもしっかり解説!

1,660

最終更新 -

この記事の目次

現在、各家庭に多く普及している省エネ型の給湯器は従来の製品と比べても熱効率が非常に高いので、より少ないエネルギーで多量のお湯を沸かすことができます。従って、月々の光熱費を大幅に節約することが可能となった為に非常に家計にも優しく経済的という大きなメリットが生まれるのです。

この省エネ給湯器には、使用する燃料の違いによってガス給湯器(エコジョーズ)、電気給湯器(エコキュート)、そして石油給湯器(エコフィール)の3つに大きく分けられます。今回は特に、エコキュートとエコフィールに関して特徴やメリット・デメリット、及び光熱費の比較などをお伝えしたいと思います。

エコフィールとは何か?

「エコキュート」や「エコジョーズ」は聞いたことはあるが、「エコフィール」は初めて聞いたという方も多いかも知れませんね。一言で言えば「エコフィール」とは最新の「灯油ボイラー給湯器」のことです。電力を使用してお湯を沸かす「エコキュート」に対して、この「エコフィール」は灯油を使用してお湯を沸かす給湯器なのです。

エコフィールの仕組みとは?

エコフィールでは、水道管からの冷たい水を最初に2次熱交換器で加熱します。その際に排出される約200℃の排熱を再度利用して、1次熱交換器で温めます。従来の石油給湯器では無駄に排出されていた約200℃の熱を再利用して熱効率を高めている訳です。

例えば灯油を燃やして得られたエネルギーを100として、従来の石油給湯器では、83のお湯しか沸かせませんでしたが、熱効率の高いエコフィールでは何と95のお湯を作ることができるのです。

エコフィールのメリットとは?

1)熱効率が非常に優れている

従来の石油給湯器では無駄に捨てられていた約200℃の排気熱を、エコフィールでは再活用して水を温める為に使用します。その為、従来の石油給湯器の熱効率が83%であったのに対して、エコフィールでは95%にまでアップしました。逆の見方をすれば、排気ロスが17%から5%にまで抑制されたということですね。

従来の機種とエコフィールでは、一般的な4人家族で計算すると年間に灯油使用量が79リットルも節約できるとされています。

2)CO2の排出量が年間13%削減できる

従来型では年間約1,560kgのCO2が発生するのに対して、エコフィールでは約1,363kgの発生量になり200kg近いCO2をカットすることが可能です。これを杉の木に置き換えると、14本の杉の木が1年間に吸収するCO2の量に該当すると言われています。

3)水道直圧式なら2階でもパワフル水流

2階や3階でシャワーを使う場合でも、水道直圧式なら気持ち良く十分にパワフルなシャワーを楽しめます。

4)井戸水も使用可能

不純物を含む井戸水もエコフィールの場合は使用できます。

5)排気温度が大幅ダウン

従来の石油給湯器では稼働中の排気温度が約200℃と非常に高温でしたが、エコフィールは、この排気熱を2次熱交換器で有効活用するので排気温度が約60℃にまで下がります。

エコフィールのデメリットとは?

1)灯油価格の高騰リスク

燃料である灯油は、日本の場合は原油をほとんど海外からの輸入に依存している為に中東情勢や為替動向により料金が大きく高騰する場合があります。

2)燃料補給の手間が掛かる

灯油ストーブなどと同様に燃料の灯油がなくなれば、その都度面倒でも補給してやる必要があります。通常、灯油タンクは屋外に設置されているので特に寒さの厳しい冬場などには辛い作業になりますね。

また消防法及び火災予防条例の規制対象となるので、灯油は200リットル未満しか家庭では保管することはできません。常時、灯油の残量をチェックしておく必要があります。

3)ニオイや騒音の問題

灯油が燃焼した際の排気臭や稼働時の騒音などがある為、早朝や深夜の使用には近隣への気配りが必要かも知れません。

4)灯油タンクの設置スペースが必要

給湯器の近くに灯油タンクを設置するスペースを確保する必要があります。火を使ってお湯を沸かすことになる為、当然火事のリスクもあるので細心の注意が求められます。

5)「中和器」の定期交換が必要

ドレン排水は強い酸性の為、排水前に中和する必要があります。その為に中和器という部品を搭載していますが、このパーツは一定時間の使用後に必ず交換作業が必要になります。その都度、1万5千円程度の修理費用が発生してしまいます。

エコキュートとは何か?

一口で言えばヒートポンプ技術(熱媒体などを使って低温部分から高温部分へ熱を移動させる技術。一般的には気体の圧縮・膨張と熱交換を組み合わせたもの)を活用して空気の持つ熱でお湯を沸かすことができる電気給湯機で冷媒は自然環境に有害なフロンガスなどではなく、無害で無尽蔵にある二酸化炭素を利用しています。

エコキュートの仕組みとは?

ヒートポンプ技術を活用してお湯を沸かすのがエコキュートです。実際にお湯を作りだすプロセスは下記の1~6のサイクルを繰り返して貯湯タンクにお湯をどんどん貯めていく訳ですね。

  1. 大気中の熱をヒートポンプユニットに取りこみます。
  2. ヒートポンプが取りこんだ熱を「熱交換器」内部の自然冷媒(二酸化炭素)が吸収します。
  3. 熱を吸収した自然冷媒(二酸化炭素)にコンプレッサーで圧力を掛けて高温にします。
  4. 高温になった「熱交換器」内の二酸化炭素の熱を水に伝えてお湯にします。
  5. 作られたお湯は貯湯タンクユニットに順次貯められます。タンク内に貯蔵されるお湯の温度は大体65~90℃です。
  6. 水を熱した後の自然冷媒(二酸化炭素)は膨張弁を通過して膨張し、もう一度熱交換器へ移って大気中の熱を取りこみます。

自然の大気中にある熱を最大限に活用してお湯を作るエコキュートはガスや灯油などを燃料として火力でお湯を沸かす他の給湯器と比べても環境に非常に優しくエコな給湯器と言えるでしょう。

エコキュートのメリットとは?

1)大幅に電気代が節約できる

基本的にエコキュートは夜間の割安な電力を利用してお湯を沸かすことで、そのコストパフォーマンスを最大限に高めています。昼間の電気料金に対して夜間の場合は約30%と破格の割安設定になっている為です。

2)断水時でもお湯が使用できる

地震や台風などの自然災害で万一、断水などになってもエコキュートの貯湯タンクには大量にお湯がストックされていますから、生活用水として十分に利用することができます。

3)環境に優しい

エコキュートは二酸化炭素を自然冷媒として使用する「ヒートポンプ方式」を採用しておりCO2排出量を削減して地球温暖化防止を強力にサポートしています。

4)火事のリスクが非常に低い

エコキュートは火力を一切使用していないので火事の心配がなく、ガスも使用しないので一酸化炭素中毒の懸念もありませんから安心です。

エコキュートのデメリットは?

1)湯切れの心配がある

エコキュートは割安な夜間電力を利用して深夜の時間帯に集中してお湯を沸かす設定になっており、貯水量以上に大量のお湯を使用してしまうとお湯切れする場合があります。特に年末・年始やお盆休みなど来客が多い場合は要注意で、事前に最大湯量にすべく設定を変更しておく必要があります。

2)屋外に設置場所の確保が必要

新たにエコキュートを導入する場合には、ヒートポンプユニットと貯湯タンクユニットの設置をしなければいけないので、ある程度のスペースが必要となります。

3)騒音の心配あり

エコキュートが本格稼働するのは深夜が中心ですから、ヒートポンプユニットから発生する稼働音が近隣からのクレームの原因になる場合があります。隣家からの距離や寝室の位置も考慮して適切な配置場所を決めることが大切です。

このヒートポンプから発生する音は冷蔵庫の発生させる低周波音と同じで聞こえにくいのですが、個人差が大きく全く平気な人がいる一方で、ノイローゼになったり、不眠を訴える人がいたりするので防音対策も設置時に検討した方が良いかも知れません。

4)初期の導入コストが高い

他のエコジョーズ(ガス給湯器)やエコフィール(石油給湯器)などと比べて本体価格や設置工事費が非常に高くなります。

5)入浴剤に制限がある

エコキュートの場合は使用できる入浴剤に制限があります。通常は発泡タイプ、にごり系、とろみ系などは機器の故障の原因になるとして使用できません。また使用する水は水道水のみで井戸水などは使用不可です。

エコキュート(電気給湯器)とエコフィール(石油給湯器)の光熱費比較

エコキュートとエコフィールで光熱費(ランニングコスト)を比較してみました。比較条件としては以下のように設定してみます。

  • 給水温度10℃として1日に42℃のお湯を約425リットル使用します。
  • エネルギー別の単価=電気12.16円/1kwh(東京電力「電化上手」深夜電力料金)/灯油105円/1リットル(石油情報センター配達平均価格)

*価格データが古いので現時点では違うかも知れませんが参考データとして認識して頂ければと思います。

機種本体

両方の機種でグレードの差が影響しないようにエコキュートとエコフィールの両方を製造している長府製作所の最上位モデルで比較します。

  • エコキュート フルオート370リットルタイプEHP-3739GPZHP 835,000円
  • エコフィール 直圧式フルオート46.5kwタイプEHKF-4754DSX 423,000円

エネルギー別の発熱量

  • 電気1kwh=860kcal
  • 灯油1リットル=8640kcal

機器効率

  • エコキュート APF3.0(APFとは年間給湯効率の意味です)
  • エコフィール 95%

ランニングコストの計算

  • エネルギー量=水量×加熱温度
  • ランニングコスト=エネルギー量÷発熱量÷機器効率×熱源単価

エコキュートの場合

  • 425×(42-10)÷860÷3=5.27kwh
  • 1日で5.27×12.16=64.08円
  • 1カ月で64.08×30=1,922円
  • 1年間で1,922×1223,064

エコフィールの場合

  • 425×(42-10)÷8640÷0.95=1.66リットル
  • 1日で1.66×105=174円
  • 1カ月で174×30=5,220円
  • 1年間で5,220×1262,640

結論として年間のランニングコストの比較という観点では、エコキュートが23,064円に対して、エコフィールが62,640円という結果になりました。初期の導入コストはエコキュートが非常に高いのですが、年間の光熱費ではエコフィールの方がエコキュートよりも約2.7倍高くなるということですね。

おわりに

エコフィールとエコキュートの仕組みから、メリット・デメリット及び両方の光熱費比較までチェックしてみました。改めて各々の特徴をまとめると以下のようになります。

エコフィール

比較的価格が安い灯油を燃料としており、耐用年数も長いことで日々のランニングコストが抑制できるのがメリットでしょう。従来型の灯油給湯器との比較では熱効率も10%以上向上しています。但し、ドレン配管の設置や灯油タンクなど初期コストが高くなる点、そして灯油がなくなるたびに補充しなければならない手間が掛かります。更に灯油価格は常に変動するので場合によっては高騰するリスクがあります。

エコキュート

大気中の熱を取り込んで無駄なくお湯を沸かすヒートポンプ方式を使用して、必要電力を大幅に削減しています。割安な深夜の電力をフル活用してお湯を沸かすので電気代が大幅に削減されます。また貯湯タンクにストックされているお湯は、断水時などの生活用水としても充分に役立ちます。但し、イニシャルコストが高いことや深夜の騒音発生などもあり十分な注意が必要です。

両方共に一長一短がありますね。確かにエコキュートの方が光熱費は大幅に安いですが、厳しい寒さの北国などではパワフルなエコフィールの人気も高いようです。選択する際には家族構成や地域など慎重に検討してください。